想像力は人生を魅力あるものにする

 

私が好きな偉人はアインシュタイン。
ぺろっと舌を出している写真の表情にはとても茶目っ気がありますね。

なぜ空は青いのだろう?
なぜ太陽は赤いのだろう?


そんな小さいころからもっていた素朴な疑問を
自分で勉強して解決していったのは
本当にすごいことだと思います。


「そんなの常識」とか
「昔からそうに決まっている」などと言わないで
疑問に感じたことに踏み込んでいきました。
そんなアインシュタインの言葉で私が最も好きなのは・・


想像力は人生を魅力あるものにする


アインシュタインは創造力がすべてだと言いました。


そういえば、
「人間が進化の過程で獲得したのは創造力と言葉である」
という解説を、読んだことがあります。
チンパンジーと人間が進化の過程で枝分かれするときに、
チンパンジーは直感像記憶という能力を残しましたが
人間はその能力を捨てて創造力と言葉を獲得したそうです。


だから思いは通ずるとか、
人間は夢の実現に向けて行動しているのではないでしょうか。


それでは、その想像力はどのように育まれていくのでしょう。


ポイントは、特に幼児期における体験の量ではないかと考えています。
もちろん体験にはバランスも必要です。
極端に偏らないこと。
音楽があってもいいし、絵画があってもいい。
できるだけ多彩な体験をさせてあげることです。


早期教育は英語だけというのも極論だし
子どもは野山で遊んでいればそれでいいというのも極論です。


それらの体験はやがて創造力の源になり
一個の人格と個性を持った大人へと
成長していくためのベースに、
あるいは幼児期の原風景になるのでしょう。


幼少期は、脆弱ではありますがたくさんのことを想像し、
また、自ら想像したことを信頼しようとします。


ところが、成長するにしたがって
子どもたちはあんなに好きだった絵を描くことをしなくなり
おとぎ話や童話に対する興味も失っていきます。
幼児期にはいっしょに手をつないで歩いていたのに
小学生の中学年くらいにさしかかると
手をつなごうとしなくなります。


一見すると想像力を失ってしまったかのようで
なんだか寂しい気持ちになりますが
実はこの過程こそが、想像力が進化していく姿なのかもしれません。

 

そして、豊かに育まれた想像力を武器に
それぞれの思春期を乗り越えていくのではないかと思います。


現在、さまざまなところで見られる社会問題の原因のひとつに
想像力の欠如があるのではないか?
その要因は、幼児期の体験量の少なさにあるのではないか?
と考えたりもします。


幼児期の体験量を増やすことは
それほどに重要なことなのです。


最後にふたつほど、
想像力が事態を変えた微笑ましいエピソードをご紹介したいと思います。


3歳の男の子が給食を食べようとしないことがありました。
私たちは無理せず、
少しずつ食べられるようになればいいと思っていましたが
あるとき、先生が
「これは○○ちゃんのじいじが一生懸命に作っているお米なんだよ」
とお話ししてみました。


この子どものなかでなにか回線がつながったのでしょう。
食べるようになりました。
おじいちゃんとの生活、おじいちゃんがやっている仕事
子どものなかでは漠然とイメージされていたはずです。
AとB、それぞれのイメージが画として重ねられていく
子どもの成長を確かに感じることができたひとときです。


ふたつめは、私の娘の話しです。


8歳ごろだったでしょうか、
「あのね、去年もそうだったんだけど、今度もトイレ掃除の係になったんだよ」
と笑いながら言ってきたことがありました。
続けて
「しかも、中の掃除係なんだよ。去年はトイレの水道の掃除係だったんだけど・・」


私は、娘の心のなかが覗きたかったのですが
咄嗟にこんなことを話しました。
「へー、よかったね。あのさ、いっくが好きな『トイレの神様』って歌があるじゃない。
トイレ掃除を一生懸命やればきっと良いことがあるよ。
女神様が見ていてくれるんだよ。よかったね、その係」


娘は、歌詞を思い出そうとしていました。
「トイレ掃除なんてイヤだよなぁ」と思っていたか、
あるいはそんなことを言う友だちがいたかどうかはわかりませんが、
価値観の揺れのようなものを経験する時期にきたとき、
適切な働きかけと、豊かな想像力があれば
視点を変え、きっと上手に次の発達の領域に進めるにちがいない、
そう私は感じました。


まさに「想像力は人生を魅力あるものにする」のです。

 


yamamurasensei山村 達夫

宇都宮市在住。
まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。

教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。