3歳からのハローワーク?!

 

私がいまの社会で問題だと感じるのは
職に就かない若者が増加していて
その理由のひとつが
「ミスマッチ」という言葉で済まされている現実です。

ハローワークに行けば
求人数はかなりあります。
でも、興味がない、待遇が良くない
休日が少ない、汚れる仕事だから・・などなど
就職できない(しない)理由はさまざまです。

私は、幼稚園のほかに障害児施設を経営していますが、
介護職は全然人が集まらない時期がありました。
とくに若い人が来てくれなくて困ったものです。
そのときも言いたかったことですが
「仕事はやってみなきゃわからない」ものだと思います。

やってみて自分に合わないと思うのはいいけれど
やらずに結論を出さないでほしいと思います。
今の人たちは、
そういうトライアウトをしないで、
自分の狭い経験や常識の範囲で
選り好みしているだけなのではないでしょうか。
トライしたとしても3日でやめてしまう。
もしかして1年やってみたら違うかもしれないのに、
辞めてしまうのですね。

「石に上にも三年」
という良い言葉を子どもに
伝えていかなければならないと思います。

幼稚園でもそうですが
とくに介護施設では、毎日同じことのくり返しです。
朝、利用者さんを起こして、ご飯を食べるのを手伝い
入浴・排泄の介助をして
またご飯を食べてという繰り返し。
まさにルーティンワークです。

この繰り返しに耐えていけるのはなぜか、
そこに喜びを見い出せるのはなぜかというと
人の役にたっていると思えるからです。

もちろん介護の仕事だけでなく
いまあるどんな仕事も
それはすべて社会にとって必要だから「ある」のでしょう。

そして、私たちの社会から
その仕事を預かって、
させていただいているのだと思います。
そういう仕事に対する気持ちを
若い人たちに伝えなければいけないと思っています。

そのためにも子育てのなかで
お父さんの仕事はこんなふうに社会に役立っているんだよ、と
ぜひ子どもに語って聞かせてください。

どんな仕事にも意味があるということを
子どものときにきちんと伝えて下さい。

そうすれば、
大きくなってから
就職できない(しない)などということには
ならないのではないかと思います。

 

yamamurasensei山村 達夫

宇都宮市在住。
まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。

教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。