家庭で教える基本の基本。「5秒言葉」とは?
私はいつも
「5秒で言える言葉を小さいうちに言えるようにさせてあげてください」
と親御さんに話しています。
5秒で言える言葉とは、
「ありがとう」
「いただきます」
「ごめんなさい」など。
人間が生きていくうえでの基本でありまた、
これなら3歳の子どもでも4歳の子どもでも言うことができます。
家庭でやるべきもっとも基本的なことは、
挨拶をすること、返事をすること、
靴をそろえさせることなど基本的なことだと思っています。
意味をそれほど深く考える必要はなくて、
基本の基本だからこそ子どもも親もいっしょにやるべきです。
「いただきます」
「ありがとう」
「ごめんなさい」
などの基本的な言葉を身につけさせるのは、
幼稚園や保育園だけでは難しいと思います。
生きるということにおいての基本的なことは、
まずは家庭で教えるべきで、
そのうえで幼稚園や保育園、学校が補完的な役割をしていくのだと思います。
私の幼稚園では、宿泊体験をしています。
野外にテントを張り、キャンプをします。
そのときにプールで魚のつかみ取りをして
自分たちが取った魚をくし刺しにして焼いて食べます。
そしたらある子どもが「キモイ!」と言ったことがありました。
私は、キモイという言葉が一番嫌いなので、
「キモイって言うんじゃない、
言うんだったら気持ち悪いっていいなさい」
と話しました。
そして、
「きみたちはこの魚を食べるんでしょ、
だから『いただきます』って言うんだよ。
それは『命をいただきます』っていう意味なんだよ」と言いました。
子どもたちにわかったかどうかはわかりませんが、
そういう説明はちゃんとしてあげるべきだと思います。
「いただきます」
「ありがとう」
「ごめんなさい」
それから私たち大人がよく言う
「お世話になっています」は、
人への感謝の気持ちであり、他者を意識した言葉です。
その言葉を語らせることによって
自分以外の人や生き物とともに
生きているということ、
ともにあるということを、子どものころから
意識づけさせることができます。
5秒で言える言葉の意味を、
小さいころから教えておくのは、まさに親の役割です。
未来を生きる子どもたちの身につけさせるべき、基本的な力のひとつです。
山村 達夫
宇都宮市在住。
㈻まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。
教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。
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