創造力が“思いやり”を育てる
“やさしさ”と“思いやり”
という言葉の違いを
考えたことはありますか?
「やさしさ」は、目に見えるものへの配慮、
対して、
「思いやり」は目に見えるもの以外への配慮です。
お母さん方はよく、
「思いやりのある子どもに育てたい」と言われますが、
そのためには
目に見えないものに配慮できる力
すなわち想像する力を養うことが必要です。
想像力を養うために大切なことは
たくさんの経験をすることです。
想像は頭の中だけで出来るものではなく、
現実の経験を土台にして生まれるものだからです。
たとえば雨が降ると
だれだっていやだなあと思いますよね。
でも、みんながみんなそうなのかな?
ということを考えてほしくて
幼稚園では子どもたちに、
ホタルの生態観察をさせています。
まずホタルの卵が
ポトンと池や川に落ちます。
水のなかで幼虫になって、
秋・冬を過ごし、翌年の春になって、
十分に成長すると今度は地面に上がり、
土の中に潜ります。
そこで繭を作って、
60~70日すると、成虫になって飛び出します。
この成長の過程で大事なのは、
ホタルの幼虫が水の中から地面に上がるときは
必ず雨の日でなければならないということです。
晴れた日、曇った日の夜には上陸しません。
雨の夜、
子どもたち自身が観察に来ることはなかなか難しいので
私たちは映像を収めて子どもたちに見せます。
本当は親子で、
地上の星のように光る幼虫の姿を見てほしいのですが。
私は以前、そんな親子の姿を
『フィリーがドキドキした夜のこと』(随想舎)
と言う絵本にして刊行しました。
こうした活動を通じて
雨はホタルが生きるうえで
非常に大切なんだということを学びます。
雨が降ったら、
「今夜はホタルが地面にあがってくるかなぁ」
なんて想像してくれると、嬉しいですね。
山村 達夫
宇都宮市在住。
まこと幼稚園 理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師
教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。
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