「空気」教えるということ

「空気」教えるということ

ふだん何げなく接していること、
気づかずにしていること、
たとえばのどが渇くとか、
木漏れ日が眩しいとか、
メロディーを思い出すとか、
くしゃみをするとか、
そういうことすべてが「生きる」ことだと思います。

だけど、息をするなんてことは
当たり前すぎて、
ふだんはまったく意識していません。


私は、下の娘が産まれるとき
看護師さんに呼ばれ
まったく思いがけずに出産に立ち会うことになりました。

そのときに聞いた赤ちゃんの産声
あれはいまでも忘れません。
赤ちゃんはお母さんのお腹から出てきて
初めて空気を吸って泣くのですね。

空気を吸うというのは
生きるためには大変重要なことなんだと
そのとき思いました。

ところが、
人間というのは
いつの間にか当たり前のように
空気を吸うようになり、
その重要性をとりたてて考えることはありません。

だから幼稚園では
ときどき空気の実験をして見せながら
みんな生きるために
休まず空気を吸っていて
それはとてもすごいことなんだよ
と話しています。

空気は重さを感じないけれど
実は重さがあるんだということを
たとえばゴミ袋を使った熱気球をつくり
科学あそびのような感じで
子どもたちに見せたりしています。

そういう身近なところから
ふだん当たり前と思っていることを
見つめ直すことをさせてあげたいと思っています。

 


yamamurasensei山村 達夫

宇都宮市在住。
まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。

教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。