子どもは親の言う通りには育たない。それは当たり前なんです
【子どもは親の言う通りには育たない。それは当たり前なんです】
子どもは親の言う通りには育ちません。
親のするように育つものなのです。
なぜなら子どもはいつも親の姿を見ているからなのです。
ポケットに手を突っ込まないでしっかり歩きなさい!と言っても、
親がそうしていれば同じように手を突っ込んで歩きます。
親がいくら、こうした方がいいと言っても
いくらなだめすかせて言っても、
子どもはそのとおりにはしてくれません。
でも、親がしていることは、子どもはちゃんと見ていて
知らない間にどこかでその影響を受けています。
なぜこんなことになるのでしょう。
子どもというのは、生まれてからずっと
親の保護のもとで、
親と一体感をもちながら育ちます。
ところが、2歳くらいになると自我が芽生えてきます。
「ぼくはお父さんやお母さんが言ってることとは違うことがしたい」
と思うようになります。
子どもが「イヤイヤ」言うのは、
親の意志とは違う自分の意志をもち始めているということなのです。
だから子どもは親の言うことに素直に従わないのですね。
でも、一方で子どもは
自分の自我を育てていくうえで
なにをモデルにしているかと言うと
それは一番身近な存在である親です。
だから親のすることはしっかり見ていて、
その言動は染みるように子どもに入り込んでいきます。
親は子どもにそういう自我の育ち方を理解しておく必要があります。
この前、大学生なった息子が幼稚園を訪ねてきたときに
「お前、そんなテレテレ歩いているんじゃない」
と注意しました。
それを聞いていた職員が、
「いいえ、お父さんと歩き方がそっくりですよ」
と言うんですよね。
いやぁ、恐ろしいなあ、と思いました。
子どものころから見ている親の立ち居振る舞いは、
想像以上に体の記憶に残るのかもしれません。
私も、これからは子どもの行動や態度を見て、
自分自身が気をつけなきゃいけないなあ、と思いました。
子どものふり見て我がふりなおせということです。
その意味で、親の行動、親の動きは非常に大切です。
家庭では、
ありがとう、ごめんなさいやいただきます、ごちそうさまでした、
といった基本の基本を徹底して身体を使って覚えさせることがいい、
と私は考えています。
それには、親の実践が第一です。
挨拶をしなさいと百回言うよも、
親が挨拶をしているところを毎日見せていくことです。
親が気づいていないだけで、
子どもは、親のすることをいつも見ているのです。
山村 達夫(やまむらたつお)
㈻まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。
大学を卒業後、大学勤務を経て幼稚園の運営に携わる。30歳の時に幼稚園長に就任。35歳の時に社会福祉法人を設立し障害者施設、保育所を設置、現在に至る。教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。
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