どう叱ったらいいの?①あなたの愛情は伝わっていますか?
子育てしていてよく聞かれるのは、
「褒めるところがみつからない」
「どう褒めていいかわからない」
というものと、
「もう怒ってばかり」
「叱り過ぎなのはわかっているんですけどね」
これは基本的には同じ問題です。
褒め上手は叱り上手な方が多いですね。
ではまず、なんのために叱ったり褒めたりするのか・・・
お子さんの幸せのためです。
お子さんの幸せを親御さんは願います。
当たり前です・・・
でも10代の子どもたちは、みんなが幸せになっているわけではないのです。
どうしてかなと、胸が痛みます。
でもその芽は、幼児期にあります。
親子が、上手に関係を作っていけず
方法を間違ったまま15年積み上げると
基礎から狂ったままになってしまうので、
お子さんが思春期以降になって、
社会との関係を密に作って行かなくてはならない時に
大きく崩れてしまいます。
幼児期のお父さん、お母さん。
あなたは叱っても大丈夫な人ですか?
親だからってぶっても許されるでしょうか・・・?
お子さんに、あなたがとってもお子さんのことを愛しているということが
ちゃんと伝わってますか・・・?
親子でも、幼稚園の先生でも、その立場として
お子さんとしっかりと、信頼関係が成り立っていますか?
ほとんどのお家で大丈夫なんですけどね、
でも時々その気持ちがしっかり伝わってなくて、
子どものためにと思っていることが、全く伝わらないことがあるのです。
むしろお子さんは嫌われているって思ったり、
愛されてないって思ったりしてしまい、
その溝が思春期に大きくなって不幸な事件になってしまうことがあります。
「僕はパパを殺すことに決めた」~奈良エリート少年自宅放火事件の真実
2007 講談社 草薙厚子著
この事件は当時とってもセンセーショナルでした。
有名高の男の子が、自宅に放火しました。
父親は医師で名古屋に勤務していて、
その勤務先でこの事件を知ります。
少年の記憶と父親の記憶の違いです。
父親は、勉強をするようにこずく程度の軽い体罰を与えたと思っています。
でも少年は、とても憎しみに変わるほどの恐怖を覚えたと言ってます。
この差が人を孤立させます。
親は子の為にといいながら、子どもとの信頼関係がないまま
子どもの中の力をのばそうとしないで、
自分の考えている幸せの未来図に、お子さんをあてはめて
それに応えられないお子さんは、自分を責めるか周りを責める・・・
それが様々な形で家族を痛めつけることになります。
この事件は、それが父への復讐になっていきます。
10代の青少年たちが自分の人生を痛めつけたり、
周りの人を不用意に傷つける事件を見るたびに、
この子たちの心の真ん中に、人を愛したり信じたりする、
そういう気持ちをしっかり育てなくては、と思います。
だから叱るときに必要なのは、
乳児期に人を信じていいよ、と家族が暖かく、
すご~く暖かく、お子さんを包んであげることなのです。
病気や怪我や、日々の痛いこと、おなかがすくこと
そんなことから守ってくれる、
とっても安心できて、いっしょにいると気持ちがほんわかする大好きな人
私のことを大事に思ってくれている人がいる。
その大前提を、2歳くらいまでにしっかりしっかり心に植えてください。
あれうちは大丈夫かな?っていう方
大丈夫です。必ず取り返しは出来ます。
思ったその時から、しっかり育てれはいいのです。
できれば就学前に、しっかりとした愛情を実感できる関係を作ることが望ましいです
私はそれが仏教の『自灯明』だと思っています。
自らがしっかり歩む、どんな闇の中でも自らを照らし歩む
その明りは少々の嵐では消えてはなりません。
どんな時も、たった一人のように思った時も、
強い風に揺らごうとも、それでも消えない。
自分を愛してくれる人がいたという、しっかりした記憶。
人は必ず人を愛して信じているという揺るがない思い。
その基礎をしっかり作った上に、叱ることが大事です。
幼稚園、保育園ではまず信頼関係です。
先生のこと大好き、
この人が一緒だと何だか楽しい
いろんな事ができるようになるって楽しい
「見て、こんなことできるよ!」
この先生、僕が頑張ったこと褒めてくれた。
俺のこと応援してくれてる。
何だか見方だなこの人・・・
こんなふうに思ってくれないと、
叱ってもかえって逆効果ですね。
すねたりわざともっと悪いことしたり・・・
叱るは、愛されているという信頼の上に成り立ちます。
それをけっして忘れてはいけないなって思います。
学校法人弘道学園 秩父幼稚園
園長 柴原 眞紀
大学卒業後、某大手出版社・公立中学校の先生を経験。現在の理事長兼慈眼寺住職(幸保さん)と結婚。2004年、当時、少子化と過疎化により、廃園の噂が出るほど危機的な状況だった秩父幼稚園園長に就任。その後、娘二人の不登校問題に直面。我が子の子育てに母親の役割、家族の意味を考え、ママたちの育児ストレスをどう解決するのかという問題に教育者としての視点から向き合うことの大切さを痛感。その後、自らの経験と園児と保護者とのかかわりによる気づきをもとに、園児とその家族を支援していくという方針を立ち上げ、「みんながはっぴーに」なる幼稚園として、秩父幼稚園を再生。現在は、秩父保育園・秩父幼稚園が一体化した認定こども園として、どんな子どももご家庭も支援する学園づくりに奔走。
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