子育てにマニュアルなんてありません!家庭の文化を作りましょう

子育てに、“マニュアル”はない。
というのが私の基本的な考え方です。

子育てのこと、叱り方のことなどが書かれた育児本は
たくさん出ていますが、
そのとおりやったから上手に子どもが育てられるかというと
そんな保証もデータもありません。

もしもマニュアルどおりでうまくいくのならば
みんな優れた子になるはずですよね。

でも、逆にいえば
そうならないところに人間のおもしろさがあるということです。

どうしても子育てマニュアルが欲しければ、
自分の両親がどんなふうに自分に接してくれたか
を考えてみることです。


親はまさに身近な教科書です。

子どもや親の個性はそれぞれ違いますし、
家々の事情も違います。
だからマニュアル化できないのであって、
それぞれの家庭で叱り方や叱る基準は、
違っていていいのだと思います。

ただ、その家庭その家庭でルールを決めて
それを守らなかったら厳しく叱る。
それは必要なことです。

やはり社会に出れば
ルールの中で生活していくわけですから。

厳しく叱る前提として大事なことがあります。

それは子どもとの間に
愛着関係があるかどうかです。

愛着から信頼へのプロセスを
0歳~3歳くらいまでに確立し、
絆のようなものが親子関係にあれば
まわりからは少々厳しい叱り方に見えたとしても、
親子間においては、それほど大きな問題にはなりません。

そのためにも、怒ったり叱ったりしたあと
抱き寄せて背中などをさすってあげるというのは
必要なことだと思います。

そうやって一度は、離れかかった距離を縮めます。

くっついたり離れたりをくり返しながら、
子どもも学び、親も学ぶ。


親と子、お互いが成長していくのが子育てだと思います。

子育ては、苦労も多いけれど
見方を変えれば、楽しいものです。

親は子どもに、英語を学ばせたい、空手を学ばせようなど、
親自身の経験や憧れから
「子どもに○○ができるようになってほしい」と願い
子どもにすすめます。

そして、子どもが途中で放り出しそうになると、
いまやめさせたら継続することの大切さが学べないのではないかと悩んだりします。
私もそんな親の一人でした。

しかし、私は自分自身が学ぼうと思ってからは、
悩まなくなりました。
なにしろ学ぶのが忙しく、楽しくて仕方がないのです。
もしかしたら、そうした親の姿が
子どもにも相乗効果を生むのかもしれません。

親自身が課題意識をもち、
自ら学ぶ。

その姿を子どもが見て学ぶ。
そのなかで自然と、それぞれのマニュアルともいえる
「家庭の文化」ができていくのではないでしょうか。

yamamurasensei山村 達夫

宇都宮市在住。
㈻まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。

教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。