子どものケンカはプラスの体験にしてしまいましょう!
親が試される 子どものケンカ
子どもの世界にケンカやいじめはつきものです。
私たちの幼稚園でも、
子どもたちの友だち関係のトラブルはよく起こります。
ケンカした子、いじめた子はもちろん厳しく指導します。
園長室に連れて来られるときには大泣きしていますので、
自分がやったことを過ちとして理解していませんから
時間をかけてでも話して、聞かせるようにしています。
一方、やられた側の子どもにとっても、
自分の心のなかを整理して
問題を解決していくことを学ぶいい機会です。
ただ、イヤだイヤだと逃げているだけではなく、
その体験が、なにかプラスの意味を持たないといけないし、
意味を持たせるようにしないといけないと
私は思っています。
私の娘も
小学校にやんちゃ坊主がいて
その子にいじめられたと訴えてきたことがありました。
私はこう言いました。
「やられてイヤなことは、
やっぱりイヤだってことがわかったんだから、よかったよね。
自分がされてイヤなことは、
人にもやっちゃいけないってことがわかったんだから。
でも、そのことがほんとうにイヤで
耐えられなかったら先生に話せばいいよ。
どうしても言えなければ、
お父さんが連絡帳に書いてあげる。」
ケンカやいじめで
大きなケガになった場合は別ですが、
基本的に、
まずは子どもの“やられてイヤだった”
という気持ちを受け止めます。
そのうえで、子ども自身が心のなかで
解決していかなければいけないことに
もう一歩働きかけるのです。
幼稚園には、
たくさんの子どもがいます。
なかにはトラブルを繰り返すお子さんもいます。
なぜ繰り返すのか、
その背景を見ていると、
子ども自身の問題ではなく本気で子どもと向き合っていない
家庭の姿を感じることがあります。
親が働きかけることで、
やられた子は、
やられたらイヤだという気持ちをもつようになり、
そこから、されてイヤなことは
やっちゃいけないんだということを学びます。
やった子は、
自分が謝らなくてはいけなかったり、
親御さんが謝る姿を見たりして
やっちゃいけないんだな、
やっていいことと悪いことがあるんだな
ということを学びます。
そんなふうに、
ケンカやいじめを機会に、
親も含めて皆が
そこからプラスの意味を見い出せるようにしていくことが、
幼児教育だと私は考えています。
子どもがいじめられた
ケンカでやられたと聞いて
「なんでうちの子が!」
と親御さんが出てくることがあります。
それでは、子どもにとってプラスにならないし、
親同士の関係も良い結果になりません。
話をするのなら子どもにプラスになる話をするべきです。
子どもを自分の所有物だと思っておられるのでは?
と感じる親御さんもときどきいらっしゃいます。
そういう人は「所有物」を傷つけられたから
怒って出ていくのでしょう。
でも、子どもはひとつの人格をもち
やがて社会に出ていく存在です。
あらゆる機会を、
これから生きていくうえで
子どもにとって実のある話に
していかなければなりません。
親がどんなふうに対応し、
解決に導いていくのか。
子どもはそこを見ています。
山村 達夫
宇都宮市在住。
まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。
教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。
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