家庭内で行うべき“ガマン”のしつけとは?

家庭内で行うべき“ガマン”のしつけとは?

ガマンする力というのは、
いまの時代に本当に必要なことです。

すぐキレる子どもなどは、まさにガマンする力がないということです。
幼稚園や保育園で見ていても、子どもたちにガマンをする力が
ついてきているとは到底言えません。
やはり甘やかしすぎる子育てに原因があるのでしょう。
私が一番過程でやっていただきたいと思うのは、
ガマンする力を育てるためのしつけです。


逆に幼稚園や保育園では、
集団生活を円滑に進めながら、個を発揮させていくことに力を注いでいます。

ここでは、集団と個という相互関係のなかで
お互いに心地よく生活するにはどうしたらよいかを学んでいくのが主眼で
けっしてガマンを学ばせることが目標ではありません。
自分の行動を制御できる力を、集団生活をとおして育んでいくということです。

子どもたちはおもしろいものです。

幼稚園にある階段の踊り場に、窓を清掃するための狭い足場があるのですが
ここに上るとスリルがあって楽しいらしく
何度注意されても上がって遊んでいました。

ところがあるとき、
「ここであそんでいいのかな」
と書いた紙を貼っておいたところ
ピタッと足場に上がるのをやめました。

友だち同士でやってはいけないことを確認し合い
お互いに行動を制御していたのです。

こんなふうに集団生活の場である幼稚園では
遊びたいのをガマンすることを教えているわけではなく、
「ここで遊ぶと危ないから遊ばないでおこう」
という、ものの考え方を教えています。

しかし、幼稚園ではその前提として
もっておくべきガマンする力まではつけさせることができません。

ガマンする力というのは非常に基本的な力であって
これを育てられる場は社会ではなく家庭なのです。

ガマンを教えるには家庭のルールをつくり
それらを守らせることだと思います。

たとえば“テレビを見ながら食事をするのはダメ”
というルールのある家庭も多いのではないでしょうか。
そういうこともガマンです。

ここで大切なのは、
家庭のルールは子どもだけが守るものではなく
親もいっしょに守らなければならないということです。
食事のときにテレビはだめと教えながら
自らそれを破っていたのでは子どもに示しがつきません
親もいっしょにガマンしてこそルールの意味があります。

ルールをつくることはガマンを強いること。
だからガマンを教えるために家庭のなかでルールをつくりましょうと
私はお母さん方に話しています。

ガマンする力がつけられなかったら
子どもが社会に出たとき、幼稚園や保育園に入ったとき
子ども自身が困ります。

幼稚園に玩具をもってくる子どもがいますが、
そうゆうことは家庭のレベルでガマンをするように
子どもに話しておくべきことだと思います。

その反面、甘やかすのではなく、
子どもの意志をできるだけ多く受け容れることも
必要だと思います。

自分の意志を受け容れてくれた、

という感覚を子ども自身がもっていると
ガマンしなければならいときに
きちんとガマンできる子どもに育つことを
私は経験から感じているからです。

 


yamamurasensei

山村 達夫

㈻まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。

大学を卒業後、大学勤務を経て幼稚園の運営に携わる。30歳の時に幼稚園長に就任。35歳の時に社会福祉法人を設立し障害者施設、保育所を設置、現在に至る。教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。