その“ダメ”はお母さんの都合になっていませんか?

 

週末の夕方DVDレンタル屋さんで
お母さんと5歳くらいの女の子。
楽しそうにDVDを選んでいます。

「Mちゃん好きなの一つ選んでおいで~」
女の子は嬉しそうに一つのDVDを選ぶと、
慣れた手つきでお母さんに渡します。

「あれ、これこの前と同じじゃん。もう見たでしょ。
同じお金払うなら、違うのにしないともったいないじゃん」
驚くほどの強い口調で、
お母さんはそのDVDをお子さんの手から取り上げます。
突然のことに泣き出す女の子。
放っておくお母さん。

どう考えてもお母さんが悪いですね。

好きなの選んでいいよって言ったら、
選べたことをほめなくてはいけません。
実は子どもは同じものを選ぶことが多いのです。
飽きるまで同じ本を読んでほしいし、お気に入りに服を着たいのです。
Mちゃんは自分の気持ちに正直にそしてお母さんの約束を守っています。

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水族館で、5歳と3歳くらいの男の子の兄弟。
お兄ちゃんは水族館のお魚に大興奮。
興味津々で体が勝手にどんどん動いちゃう行動派。
お母さんは目が離せなくて、ちょっと大変そう・・・・。
弟クンの方は先ほどからお魚よりも
お母さんの新しいデジカメが気になってしようがないという様子。

ことあることに、デジカメに手を出してお母さんに疎まれています。
男の子二人と連れてのお出かけにお母さんはだんだん疲れてきています。

ちょっと面倒になってきたんでしょうね。
お母さんが弟クンに新しいデジカメを渡しました。
弟クン嬉しそうにデジカメをひっくり返しながら眺めています。

お兄ちゃんの方は大きな水槽を前にキョロキョロ。
大きな魚が泳いできて大喜び。

その様子を写真に撮りたくなったのがお母さん。
弟クンの持っていたカメラを黙って取り上げて、
お兄ちゃんの笑顔をバッチリ撮りました。
そして弟クンにカメラを戻します。

が、しかし、弟クンはカメラをお母さんにとられたところで
床に突っ伏して泣きだしました。
カメラが戻ってきたくらいでは泣き止みません。

これもお母さんがいけませんね。
まず、デジカメをおもちゃ代りにしたのが間違い。
一度渡したら、飽きるまでお子さんに貸しておくべきでしたね。
それで壊れたとしても、それはお子さんのせいではありませんね。

ことあるごとに大人の都合で
気持ちを踏みにじられたお子さんは素直さが消えていきます。
わざと拗ねてみたり、
ルール違反をして周りの人の気を引こうとしたりします。

こうなると子どもは自分の気持ちが自分で分からなくなります。
お母さんもこの子はいつも大人を困らせる子だという気持ちになります。
これが暮らしの基盤になると素直な気持ちを見失いますね。
疲れ果てて愚痴やため息が多くなります。
そうならないためにも
その「ダメ」はお母さんの都合かどうか考えてくださいね。

 

 

makisensei

 

学校法人弘道学園 秩父幼稚園

園長 柴原 眞紀

 

大学卒業後、某大手出版社・公立中学校の先生を経験。現在の理事長兼慈眼寺住職(幸保さん)と結婚。2004年、当時、少子化と過疎化により、廃園の噂が出るほど危機的な状況だった秩父幼稚園園長に就任。その後、娘二人の不登校問題に直面。我が子の子育てに母親の役割、家族の意味を考え、ママたちの育児ストレスをどう解決するのかという問題に教育者としての視点から向き合うことの大切さを痛感。その後、自らの経験と園児と保護者とのかかわりによる気づきをもとに、園児とその家族を支援していくという方針を立ち上げ、「みんながはっぴーに」なる幼稚園として、秩父幼稚園を再生。現在は、秩父保育園・秩父幼稚園が一体化した認定こども園として、どんな子どももご家庭も支援する学園づくりに奔走。