いじめと向き合える子どもにするために、一番大切なこと

 

いじめと向き合える子どもにするには・・・

いじめ問題というのは、
どの親御さんも関心があることだと思います。

我が子のことを考えると、
この問題に目を背けることができる親御さんは
たぶんおられないでしょう。


我が子がいじめる側になっても困るし

いじめられる側になっても困るし
傍観する立場でも困る。

じゃあどう考えていけばよいのでしょうか。

いじめに関して家庭でできる抑止力、
それはやっていいことと悪いことの区別を
しっかりつけることにあると思います。

たとえば、自分がやられてイヤなことはやってはいけないとか、
嘘はつくなとか、ものを大切にしなさいとか、
なんでもかまいません。

そういう非常に簡単なこと、
シンプルなことを小さいころから言い続けていくことが大事です。

私が小学校に行く娘を停留所まで送っていくときに言うのは、
「とにかく楽しくやっておいで」
「車に気をつけるんだよ」
このふたつだけ。

それしか言ったことがありません。
でも、それは言い続けないといけないと思っています、
なんでもいいから言い続けていると、
子どもの心のなかに染みてきます。


その染みついた親の声が、やがて子どものなかでの抑止力になります。

タバコ吸おうかなと思ったときにも、
親の声が聞こえてきて、やっぱりそれはやっちゃいけないんだ
という思いになります。

不思議なものです。

それからもうひとつ大事なことは、
なにか悪いことをしたら、
それは神様でもいいし、お天道様でもいいのですが、
誰かが見ているということを小さいころから言い続けることです。

私の息子が幼稚園くらいのころ。
友だちと遊んでいて、ある子が息子のカードを黙って持っていこうとしたことがありました。

それに気づいたとき、息子は
「そういうことしていたらおまわりさんに捕まっちゃうよ」
と言ったそうです。

 

そのあと小学校5年生くらいのときに、
心理療法のひとつである箱庭づくりをやらせてみたことがありました。
教育研究者のはしくれとして、
双子の息子の心理を見てみたかったのですね。
個性がまったく異なる兄弟ですが
そのときに、ふたりとも箱庭に交番のミニチュアを置いたことが
とても印象的でした。


子どもって小さいときから言い続けていると

悪いことしたらいけないんだ、捕まるんだという意識が
しっかり自分の体のなかにできていくものなのだと感心しました。


大事なことを言い続けることは、

子どもに生きるために道しるべを与えるということです。
親が言い続けたその言葉は、
子どものなかで自分を律する言葉となり
なにかあったとき相手に放つ矢にもなります。

これが大事だと思うことは、
親は徹底的に言い続けるべきだと思います。

 

yamamurasensei山村 達夫

㈻まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。

大学を卒業後、大学勤務を経て幼稚園の運営に携わる。30歳の時に幼稚園長に就任。35歳の時に社会福祉法人を設立し障害者施設、保育所を設置、現在に至る。教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。