子どもが社会に出るときに必要な親の“覚悟”
親御さんへのエールのような詩をご紹介します。
タイトルは『雨』。
野村康次郎さんという方がつくられました。
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雨は
ウンコの上にも
落ちなければなりません
イヤだといっても
駄目なのです
誰も
代わってくれないのです
(月刊『致知』2008年10月号 (致知出版刊)より)
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わずか7行の詩です。
「イヤだといっても 駄目なのです」
という2行がまさに真理ですね。
生きるって楽しいこともあるけれど
悲しいことやつらいこともある。
いや、悲しいことやつらいことがあって初めて
「楽しい」があるのかもしれません。
つらいこと、楽しいこと
その両方を引き受ける覚悟が
子育てをする親には求められます。
イヤなこと、つらいことにめぐり合ったとき
それを嘆くのでなく
その出来事はいったいどんなことを
私たち親子に伝えようとしているのかと
視点を変えて考えてみることが大切です。
実はこの、視点を変えるという勇気が
いまの親に一番足りないのではないかと思います。
子どものやったことをすべて
引き受ける覚悟、全責任を取るという覚悟がないように感じます。
覚悟がないから
だれかに責任転化をしようとするし、
「うちの子に限って」という話になります。
子どもにつらいことがあったとき
親はいっしょに解決していかなければなりません。
いろんな我慢もしなければなりません。
いじめられる側になったときもそうだし
いじめる側になったときも
親同士の関係として
子どもに代わって謝らなければいけないこともあります。
「イヤだといっても 駄目なのです」
子どもたちは家庭という
温かい世界から社会に踏み出していきます。
親の手を離れて
子どもは外の世界で生活していかなければりません。
そのときに親は決して、代わることはできません。
4月は1年の節目です。
親御さんにはいつもこう言います。
4月はとても華やかな季節だけれど
覚悟を新たにしなきゃいけない時期でもあると。
小学校に入学するときも
幼稚園に入園するときも同じで
子どもを手放すときです。
親はそれまで両目で
子どもを見てきたけれど
家庭から社会に出すということは
片目を幼稚園や学校、社会に預け
今後は片目で見守っていく。
そういうことが必要になってくる時期ですよ、と。
この『雨』という詩のなかの
「雨」を「イヤなこと」「つらいこと」に、
「ウンコ」を「子ども」に読み換えてみてください。
子どもが一歩社会に踏み出したら
もう親が代わってあげることはできません。
山村 達夫
宇都宮市在住。
まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。
教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。
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