子どもの体験量を増やすには・・親の体験量を増やしましょう!?
子どもにいろいろな体験をさせてあげたい
という親御さんは多いと思います。
けれども、ご自身の体験は増やさなくていいんですか?
と問われたら、首をかしげられるかもしれません。
私の幼稚園では、
ヴァイオリンに触れる体験活動を取り入れていますが
ときどき
「ヴァイオリンがなかったらいいのに」
とおっしゃるお母さんがおられます。
ヴァイオリンなんて高尚なものを、
と思われるのでしょう。
私たちは逆に
「ヴァイオリンは砂場といっしょ」
というつもりでいます。
もちろん、ヴァイオリンを学ぶすべての子どもが
プロの演奏家になるわけでもないし、
そう希望しているとも思いません。
ただ、ふたつの点で、
私はヴァイオリンを幼稚園に取り入れています。
ひとつは、音楽、とりわけ音符というのは、
世界共通の言語であるということ。
ふたつめは、手と頭を使い、
微妙な音のズレを感じる力が養えることです。
心地よい音とそうでない音の違いを聞きわけることが出来ると、
生活のなかでも役立つように思います。
実は、ヴァイオリンを露営入れる前と後を比較して、
驚いたことがあります。
それは子どもたちの他の活動に取り組む集中力が高まったことです。
そしてなにより、
子どもたちの合唱が上手になってきていることです。
親が経験していないことを
子どもにさせるのは難しいものです。
親がヴァイオリンなんてと思っていたら、
子どももそう思いがちです。
ただ、あなたが今まで経験してこなかったように
お子さんも、経験しないままでいいのですか?
と私は聞きたいと思います。
もしかしたら、あなたのお子さんは
ヴァイオリンと出会ったことで
人生を変えるかもしれません。
音楽も英語も同様、世界共通の言語です。
どこにいってもドはドなのです。
だから楽譜を読め、
学期への抵抗がなければ、
すぐに外国の人ともアンサンブルができます。
こんな素晴らしいことはありません。
私はよく、職員にも言うのですが、
やろうかやるまいか迷ったら、
やるべきだと思います。
やらないほうを選択すると、
いろいろ言い訳を考えなくてはなりません。
子どもの体験を増やしていくには、
親の体験量を増やすのが一番の近道です。
その体験とは、
自分ができるどうか、ということではなく
多くのことに前向きに
感心を持つということです。
幼稚園にコンピューターを入れて
子どもに絵を描かせたときも、
同じような異論がありました。
20年近く前、パソコンはまだまだ高価で
小学校にも入っていませんでした。
「なんで幼稚園の子どもに
コンピューターが必要なんだ」
という声もありましたが
5年と経たないうちに、
小学校へもコンピューターが導入され
情報教育が推進されるようになりました。
なにかにつけて高尚だとか子どもには早いとか、
そういう拒否反応を親が示してはいけません。
親が知らないから出来ない、
やらせないというのでは、
子どもの可能性を狭めることになってしまいます。
親もまた体験の量を増やし
視野を広げることが子どものためになるのだと思います。
山村 達夫
宇都宮市在住。
?まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。
教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。
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