パパ•ママが体験することが、子どもの知識になる
私は子どものころ、理科が大きらいでした。
でも、大人になってから理科に関心を持つようになりました。
子育てをするようになってからのことです。
身のまわりの空気だとか光だとか風だとか
そういう自然のことを子どもと話そうと思ったとき
あまりにも自分に知識がないことがわかったからです。
それで少し勉強しようかなと思ったのが
理科というか、自然科学に興味をもつきっかけでした。
たとえば『7つの星』という絵本があります。
******************************
お話のなかで、
女の子がおじいさんにひしゃくの水をあげます。
するとひしゃくにはピカピカに光る
美しい七つのダイヤモンドがついて
それが空へ飛んでいったかと思うと、
七つのお星さまになり
ひしゃくの形の星座になりました。
******************************
とつづきます。
そういう絵本を読んだあと
子どもと夜空を眺めたとき
「あれが七つ星なんだよ、あのお話のことなんだよ」
と教えてあげて初めて
子どものなかで知識になり蓄えられていきます。
ただ、そう子どもに教えてあげるためには
まず親自身が勉強なり経験しておくことが必要です。
幼稚園では、よく天体観測をします。
望遠鏡で初めて土星を見たとか
木星の縞を見たとか言って
親御さんが感激してくれます。
でもそのときに私は言います。
子どもは望遠鏡をのぞく経験だけでいい、
だけど親はしっかり見ておいてほしいと。
それで感動したら、自分が見て心底きれいだった
ということを子どもに伝えてほしいと。
ところが、私たち大人は、こういう体験をしたあと、
すぐに子どもに答えを求めてしまう悪い癖があります。
見えた?
どうだった?
と子どもに聞いてしまいます。
だけど、ほんとうに大事なのは子どもではなく
あなたが見えたかどうかです。
子どもに体験させるのも大事ですが
まずは親が体験すること。
その体験を言葉で子どもにどう語れるかが肝心です。
親が自然の驚異、不思議を熱く語ることで
子ども達の体験を知識にかえていってあげてください。
山村 達夫
宇都宮市在住。
まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。
教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。
この記事が気に入ったら「いいね!」してね