一緒に楽しんで、一緒に悲しむ。“子どもの気持ちに寄り添う”ということ

一緒に楽しんで、一緒に悲しむ。“子どもの気持ちに寄り添う”ということ

「がんばったのわたし」

先日、園の玄関でのことです。

夕方お迎えにきたお母さんに、
女の子が

「きょうすごくがんばったの、わたし」
「ノートも本読みもすごく」
「すごくがんばったの」

靴を履きながら話しています
その声から女の子が誰だかわかります。

お母さんはなんていってくれるかな・・・・
って思って聞いていると
お母さんの声が聞こえません・・・・・

残念だなって思いました。
私は助け船をだそうと思って席を立って玄関に行き、


「そうがんばったの。

すごいね。えらかったね」

と相づちをうっていると、
その女の子は園のカバンから
何か出そうとしています。


よく見ると、先生からのメッセージカード

「○○ちゃんノートのときとってもがんばって
3ページもすすみました。
すごかったです」


それをお母さんに早く見せたかったのですね・・・・・

お母さんはちょっと面倒なのかな、
つかれていたのかな、
やはり声をかけないので
またまたちょっと助け船。

「よかったね。
なくなっちゃうと困るからカバンにしまって
お家でみてね」

それでひとまず女の子は落ち着いて
帰って行きました。

この女の子は表情も乏しくて
言葉も乏しくて自分から
「・・・・したい」とか「嬉しい」とか表現することが少ないのです。

だから玄関で彼女の声がした時は嬉しかったのです。

 

彼女の表現を認めて、それがいいことなんだよ。
大事なことなんだよ。
笑っていいし自慢していいんだよ。
ってことを彼女に伝えたかったのです。

嬉しいときに嬉しいことを
一緒に喜んでくれる人がいないと
嬉しいって思えなくなります

美味しい時に美味しいって
一緒に喜んでくれる人がいないと
美味しいって思えなくなります

悲しいときに悲しいことを
一緒に悲しいよねっていってくれる人がいないと
悲しいって思えなくなります

 

心は寄り添って、一緒に重なり合って
刻まれていくものなのかもしれません。

そして一番近くにいるお家の方が
お子さんの心に寄り添ってください。

周りの大人がこどもたちの心に
ちょっとずつよりそってあげたら
みんなみんな笑顔も涙も輝く子になります。


makisensei

学校法人弘道学園 秩父幼稚園
園長 柴原 眞紀

大学卒業後、某大手出版社・公立中学校の先生を経験。現在の理事長兼慈眼寺住職(幸保さん)と結婚。2004年、当時、少子化と過疎化により、廃園の噂が出るほど危機的な状況だった秩父幼稚園園長に就任。その後、娘二人の不登校問題に直面。我が子の子育てに母親の役割、家族の意味を考え、ママたちの育児ストレスをどう解決するのかという問題に教育者としての視点から向き合うことの大切さを痛感。その後、自らの経験と園児と保護者とのかかわりによる気づきをもとに、園児とその家族を支援していくという方針を立ち上げ、「みんながはっぴーに」なる幼稚園として、秩父幼稚園を再生。現在は、秩父保育園・秩父幼稚園が一体化した認定こども園として、どんな子どももご家庭も支援する学園づくりに奔走。