『聞く』は脳を育てる?!

『聞く』は脳を育てる?!

聞くことは、想像する力や考える力を育みます。
年齢を重ねると、聞いた話を頭の中で絵にして考え
疑問や間違いを指摘したり出来るようになります。
大変高度な能力だと思います。

生まれたばかりの赤ちゃんも
お話を読んで聞かせていあげると
赤ちゃんの脳のなかの
言語野というところが働くことがわかっています。

本の読み聞かせは脳の働きという点からも
有効だと言えるでしょう。
「聞く」は脳を育てます。

その意味からも、
親子間での会話はもちろん
自然界の音を聞くことも、とても大切です。
雨の音を聞く。風の音を聞く。
葉っぱが揺れる音、木が揺れる音
小鳥のさえずり、葉っぱと葉っぱのすれ合う音。
音を聞いていていろんなことを想像します。

もしかしたらその音を
大人になって聞いたときに
一瞬にして幼いころを思い出すかもしれません。

自然界の音を、親子でいっしょに聞きながら
会話するのもいいですね。
「雷さん、あっちに行ったよね」
「ゴロゴロ来たよ」
「夕立かな」
なんて、
音を「聞く」ことで
親も子どもも対等に話ができるというのは楽しいことです。

いっしょに聞く
いっしょに見るという経験は
子どもが大きくなっていくうえで
大切な力になるんじゃないかなという気がしています。

たとえば、風の音は
風のなかに入らないと分かりません。
ところがそういう経験は、
幼稚園の1日4時間、年間200日、800時間では十分にはできません。
ぜひ家庭でも心がけていただきたいと思います。

現代は高度情報化社会です。
携帯電話の普及、インターネットが世界を身近に感じさせてくれます。
確実に子どもたちには
情報化社会のなかで生きていくことになります。

ただ、そこには落とし穴も多くあり、
そのひとつが一見して
分かったような気になるということではないでしょうか。

だからこそ、見える世界から
聞こえてくるものに耳を澄ませる必要があると思います。

私は谷川俊太郎さんの『生きる』
という詩をこよなく愛しています。

見る文字、読む言葉から
いろいろな音が聞こえてくるからです。

皆さんにもぜひおすすめしたい詩です。

 


yamamurasensei山村 達夫

宇都宮市在住。
まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。

教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。