「ほめる」ことの本当の意味って?

「ほめる」ことの本当の意味って?

 

子どもは、ほめられるとほんとうにうれしそうにします。
ほめることは子どもの意欲につながります。
どんなことでもほめてあげてください。
野菜が食べられるようになったら
「おいしくてよかったよねぇ」といった調子です。

叱った後も、なにか子どもにさせて
「できるじゃない!」
とほめるといいと思います。


叱られたショックも少し和らいで
夜もよく眠れるようになります。

ありとあらゆる場面で
「認められる」
「ほめられる」
経験をさせてあげてほしいと思います。

ただ、日本人というのはほめるのが下手です。
ほめ方を知らないし
逆にほめられてもどう反応していいか困ってしまいます。
そこが日本人に欠落しているところだと思います。

私の幼稚園では、ネイティブの英語教師を招いています。
その彼に、英語のほめ言葉をたずねてみました。
最もポピュラーなほめ言葉は、
「Well done」・・よくできたね、上手にやったね。
次が「Excellent job」・・素晴らしい成果だね。
同じく「Good work」、それと似た言葉で「Good job」をよく耳にします。
これはダサい言い方だそうです。
最後に「Fantastic!」
これはほめる側の感情が相当高まっている感じがします。

これらを聞いていて感じたのは
「Fantastic!」以外の言葉が、行動の結果をほめているということです。
個人的には「Fantastic!」が好きですが、あまり使われないようですね。

びっくりする言葉がもうひとつあります。
それは
「I’m proud of you」です。
なかなか日本人には言えない言葉ですね。
「私は君を誇りに思うよ」
洋画を見ていると、ときどきこんなフレーズに出会います。

いずれにしても日本語には
ほめ言葉のバリエーションが少なくて、
ほめ方に困ってしまうという根本的な問題があります。

 

そうはいっても子どもを見ていれば
純粋にほめたくなるものです。

幼稚園でも先生のお話をきちんと聞いている姿を目にしたら
「お話がよく聞けたね」とほめたくなります。
そういう日常生活の何気ないことであっても
子どもはほめられると嬉しい表情を隠しません。
大人だったら、そうはいきませんね。

私は、小さいことに親からほめられた記憶があまりありません。
そのせいか、ほめられたときにどう反応したらよいのかが
分からないままでいます。
だいすきなゴルフでも、人には
「ナイスショット!」といえるのですが
自分が言われると困ります。

たぶん一打をほめられてもそのあと失敗するかも
という気持ちの弱さがあるので、うまく喜べないのでしょう。
そんな私でも、どこかに自分をほめられる部分、
認めることのできる部分を見つけていかないと
モチベーションが保てません。
だから、「ナイスショット!」とほめ言葉をかけてもらうことは
私にも必要なことだと感じています。

子どもも同じで、自分がやっていることに
納得ができるかどうか、
それを確認するためにも、他者からほめられ認められることが必要です。
だからどんどんほめてあげてください。

直接ほめるものいいし、
「だれだれさんがこう言ってほめていたよ」と、間接的にほめるもの良いですね。
先生や第三者のほめ言葉を子どもに聞かせてあげると
ほんとうにうれしい表情がかえってきます。
そういう笑顔を小さいうちにたくさんもてた子どもは
自己肯定感が強く、将来大人になってからも
なにに対しても積極的に取り組んでいけるに違いありません。

ほめるときにはありとあらゆるところでほめる。
ほめることで子どもの積極性を伸ばし
同時に親子の絆を深めていただきたいと思います。

 

yamamurasensei山村 達夫

宇都宮市在住。
まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。

教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。