『銀河鉄道の夜』が教えてくれるもの

『銀河鉄道の夜』が教えてくれるもの

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』
有名な童話ですね
絵本にもなっています。

最初読んだとき
私には何を言おうとしているのか
よくわかりませんでした。


それなのに娘が、
「お父さん、これ読んで」
と何度も持ってくるのです。
とても悲しいお話なのに
不思議と子どもの心にひっかかる
なにかがあるのでしょうね。

ストーリーはみなさんご存知だと思いますが
最終的には
人にはやさしさが大切であるとか
相手のために尽くすこと、
社会のために役立つことには価値がある
ということにつながっていくのだと思います。

私が『銀河鉄道の夜』を読んで心に響くのは
人間は意志が大事だ、というメッセージです。

たとえば農業は「いいものをつくりたい」と思うことが
美味しい果実をつくるヒケツだとか
汽車は石炭で動いているんじゃなくて
動かそうという意志があるから動いているんだ。

というふうに、思いは通じるということを
言っているのだと思います。
だから人間は正しい意志をもつことが大事なんだと。

行動が大事だと、良く言います。
けれども行動の素になるのは想いです。

こうありたいと想うことが
そうなるための第一歩でしょう。
悪い想いを持っていれば
悪い行動につながっていくのではないでしょうか。

『銀河鉄道の夜』は
最後にカムパネルラが亡くなる悲しいお話です。
正しいことを想い、正しい意志をもって
行動していくことの大切さを考えさせてくれます。

この物語に、感想は必要ありません。
娘に読んであげているときも
内容について質問したりはしませんでした。

ただ味わえばいいのだと思います。
何度も何度も繰り返し読んでいくうちに
味が染みてくる
そういう物語なんじゃないかと思います。

 


yamamurasensei山村 達夫

宇都宮市在住。
まこと幼稚園理事長・園長
社会福祉法人藹藹会理事長
福島学院大学福祉心理学部非常勤講師。

教育と福祉を基盤に、実践に裏付けされた臨床的教育研究を行っている。また、障がい者施設・保育園の運営に携わっている。主な著書に、絵本「フィリーがドキドキした夜のこと」(随想舎)、「0歳からのことば育てと子どもの自立」(共著:合同出版)など。近年はFM栃木“RADIOBERRY”「まことーく!」「今日も“わきあいあい”」、CRT栃木放送「HAPPYLOOPはここから」にも出演。多岐にわたり活躍中。