「甘えを受け入れる」と「甘やかす」は違う
ずっと親の腕の中にいたい乳児時代から
幼児時代に入ると、
子どもは親から離れて動くことができるようになり、
その時間がどんどん増えていきます。
一人遊びをしたり、友だちと遊んだり、
集団生活に入ったり、、
親と一緒にいない時間でも、
子どもはふっと親の腕に飛び込みたい衝動にかられます。
特に何かあったわけではないのですが、そうすると安心するのです。
「とにかく、無条件に子どもをかわいがりましょう」
幼い子どもは、自分で安心感を得る方法をまだ知りません。
その都度、親のそばに行って、
親からそれを得ようとします。
親に「あのね…」と外での体験を色々話そうとします。
こうした行動はすべて子どもの「甘え」であり、
子どもはそうやって親に甘えることで、
安心を得たり、痛みを癒したりしているのです。
同時にそれは自立の準備でもあります。
その甘えを親が受け入れなかったら…
「今忙しいからあとでね」
「そんなことぐらいで」
「べたべたしないでよ」
「もう大きいんだから」
こんな風に言っては受け入れを拒否します。
子どもが大きくなればなるほど、
親は子どもの甘えを受け入れなくなります。
でも、子どもが精神的に自立して、
自分で安心感をつくりだしたり、自分で自分を癒したりできるようになるまでは、
親の力が必要なのです。
幼い頃から十分に甘えを受け入れられてきた子どもは、
精神的自立も早いと言われます。
反対に、甘えが十分ではなかった子どもは、
形を変えていつまでも
親の注意を引くようなことをやり続けます。
「甘え」は主体が子どもで、
その気持ちを満たし合い交流する事だと言われます。
「甘え」の感情は親密な人間関係の基盤で
幼い時に経験していないと、
他者との親密な関係になれまないのです。
子どもが将来穏やかな人間関係を持てるようになるためには、
幼い時の心の通じ合いが大切です。
自分の思いをしっかりと受け止めてくれる存在に
甘えて満足し、落ち着いて聞き分けも良い子に育ちます。
一方、「甘やかし」は大人が主体で、
自分のエゴで子どもを甘やかす事です。
子どもは自分の中で何かしたいと思う
エネルギーを持っています。
大人の都合で先回りしたり、
本来子どもが望む事とは違うものを用意して、
気持ちをすりかえます。
子どもが望んでいないことをするのはおせっかいです。
自立とは…
子どもが自立するには、自分の後ろに守ってくれる存在、
戻っていける心の基地があり
「安心」という土台に育まれる「意欲」の元に自立は存在します。
甘えとは…
本来子どもは甘えたいという感情を誰もが持っています。
その思いをしっかりと受けとめてもらい、
心の底から甘えられたと感じた時、
子どもは安心し気持ちが穏やかになります。
なぜ甘える事が大切なのか?
十分に甘えられた子は、人の気持ちがわかっていく。
もし、愛情を持って育てているつもりでも、
子どもが実感していなかったら…
また親が大好きなのに安心できる存在と思えなかったら…
成長していく過程で、
人と人との関係で折り合いの悪い子に育ってたり、
過剰な要求をする子になっていきます。
親の都合で子どもを振り回し、
エゴを押し付けていたなら…。
小さい子どもは親に反発できません。
自分の感情のコントロールをするのに、
子どもをはけ口としていたなら…。
子どもが大人になり、やがて親になった時、
自分の孫に対し「親にされたままの親」になっていきます。
もしそうなったとしたら・・・
もっと柔らかい気持ちで、
子育てをしていたらよかったと後悔してしまいます。
後悔の無い子育ては、
子どもの甘えを受け入れることから
始まるといっても過言ではないのです。
都賀保育園
園長
佐藤 圭子(さとう けいこ)
自閉症の子どもに関わるようになって保育に興味をもち保育の業界へ入る。
ハンガリーやドイツ、韓国やデンマークの保育園を視察するなど、熱心に業界研究を行い日本の保育の質の向上と子どもたちの豊かな未来を創るために日々奔走している。子どもたちと積木遊びをすることが好きで、ネフ社・ガプラ・WAKUブロックなど様々な積木を用いて、園児たちと遊びを通じた教養に尽力している。子どもにとって良いと思ったモノはすぐに取り入れるため保育用品などを自作で作り上げることもしばしばある。これまでつくりだした保育用品は100点以上に上る。
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